借地借家による宅地評価
借地権と貸宅地の評価
借地権の評価
- 借地権
借地法に規定する建物の所有を目的とする地上権及び賃借権のこと
借地権は借地法によって、その存続期間が保証され、またその期間満了時には原則的に賃借期間の更新が認められており、また建物の譲渡に伴ってその借地権も有償で譲渡することができます。
したがって、借地権の設定は、事実上土地の一部である土地の収益権の部分的譲渡に該当する行為に当たるもの考えられ、借りている側は借りている分の利益を得ていると考えれます。
借地権の評価=自用地としての価額x借地権割合
貸宅地の評価
- 貸宅地
地上権又は借地権の目的となっている宅地のこと
具体的には、土地の所有者が借地権者に賃貸して直接使用、収益させている状態にある宅地をいいます。
この場合には、土地所有者はその宅地に対する使用収益権は著しくげんたいするを借地権は借地法によって、その存続期間が保証され、またその期間満了時には原則的にこととなるため、その事情を考慮することとしています。
貸宅地の評価=自用地としての価額x(1-借地権割合)
借地権は借りている側の評価、貸宅地は課している側の評価となるため、それぞれの借地権割合で自用地としての価額を按分することになります。
貸家建付地の評価
貸家建付地の相続税評価
貸家建付地とは、貸家の敷地の用に供されている宅地をいいます。
したがって、具体的には土地所有者がその宅地の上にある自己所有者の建物を賃貸していることから、その建物の敷地となっていること宅地を借家人に間接的に使用収益させている状態にある宅地です。
第3者に賃貸している建物が建っている場合では、建物に居住している賃借人の借家権が生じているため、相続税評価を行う上では、居住者の借家権部分を一部考慮することで、評価額を減額することができる規定となっています。“すぐに売れない”=“換金価値が少し下がる”と言う考えに基づいています。
貸家建付地の評価=自用地としての価額x(1-借地権割合x借家権割合x賃貸割合)
- 借地権割合
→借地権割合は、地域ごとに路線価図により定められています。路線価図にA~Gの希望で定められており、以下の表の割合で借地権割合が決まっています。
記号 | A | B | C | D | E | F | G |
---|---|---|---|---|---|---|---|
借地権割合 | 90% | 80% | 70% | 60% | 50% | 40% | 30% |
例えば、路線価図に255Cと記載のある道路に面した土地については、一平方メートル当たりの価額を千円単位で表示し、この場合255,000円/㎡で、借地権割合C=70%であることを示しています。
- 借家権権割合
→借家権割合は、全国一律で30%となっています。
- 賃貸割合
→例えば、アパートの部屋が10部屋あって、そのうち6部屋が賃貸で貸していて残り4部屋は空室であるような場合にはこの賃貸割合は10分の6、つまり60%となります。
土地の上に立っている建物のうち、何%を貸しているかということを表します。厳密には貸している部屋の床面積で計算を行います。貸している部屋の合計面積が40㎡、貸していない部屋の合計面積が160㎡であった場合には、賃貸割合は200分の40となり、賃貸割合は20%ということになります。
貸家建付地評価の具体例
次のような前提条件の土地について、貸家建付地評価を行ってみます。
- 地積(面積):100㎡。
- 部屋数5部屋の貸アパートの敷地。
- 5部屋の広さは同じで、このうち3部屋は賃貸しているが2部屋は空室。
- 路線価図上、200Cの路線に面している。
「自用地とした場合の価額」は、各地補正等を省略すると、100㎡×200千円=2,000万円となります。
次に借地権割合は、路線価図上の記号がCということで70%となります。
そして、借家権割合は一律30%。
賃貸割合は、5分の3、つまり60%。
以上のような前提条件の土地について、貸家建付地評価を行うと
2,000 x(1 – 0.7x0.3x0.6)=1,748万円となります。
※借家人の有する宅地等に関する権利=自用地としての価額x借地権割合x借家権割合x賃貸割合
使用賃借による相続、遺贈又は贈与があった場合の土地の財産評価
使用貸借と賃貸借の違いは、その収益が対価を伴わず無償でなされる点にあります。
使用貸借に該当する場合 | 借りているものについて通常必要とされている費用に相当する金額以下の金額の授受があるにすぎない場合 |
---|---|
使用貸借に該当しない場合 | 無償であっても、それに代わる経済的利益の授受のある場合 |
借地権の設定が使用貸借契約に基づくものである場合においては、借地人の有する使用収益権の価額をゼロとして取り扱うため、贈与税の課税関係は生じません。
家屋の評価
家屋の評価単位は、原則として1棟ごとの家屋ごとに評価します。
自家家屋の評価
家屋の評価=固定資産税評価額x倍率(常に1.0)
固定資産税評価額は、家屋課税台帳又は家屋補充課税台帳に登録されてている基準年度の価格又は基準年度の価格に比準する価格をいいます。
貸家の評価
貸家の評価=自用家屋の価額x(1-借家権割合x賃貸割合)
借家権の目的となっている家屋に価額は、自用家屋としての評価額から借家権の価額を控除した金額によって評価します。
自用家屋=家屋の利用権+家屋の所有権
借家権割合=家屋の利用権/自用家屋