宅地の財産評価
宅地の財産評価
相続税の大きなウェートを占めると思われる宅地における相続税の財産評価について確認します。
遺産分割協議とかで不動産の価格をいくらで評価するかによって、特に相続人のうちの1人が共有している不動産を現物取得し、他の相続族人が金銭による代償分割という遺産分割方法する場合などは要注意です。
1物4価
一つの土地には、次の異なる4つの価格が成立するとされており、これを1物4価といいます。
- 公示価格
- 相続税評価額
- 固定資産税評価額
- 取引価格(時価)
地価と言われる取引価格は、売主と買主の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、公示価格は正常な価格として国土交通省が公示する価格を指し、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示されます。
その他の相続税評価額や固定資産税評価額は、税金の額を決めるときの基準となるもので、毎年1月1日時点の価格が、7月に国税庁から公表されます。
地価公示、相続税路線価、固定資産税評価の相互関係
公示価格を100とすると、概ね相続税路線価を80、固定資産税評価額を70といった価格で均衡化が図られています。
遺産分割時における相続不動産の時価評価
相続、遺贈または贈与により所得した財産の価額は、相続税評価額ではなく、取得の時における不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる取引価額(時価)で評価しなければならないことになっています!
そして、その財産の価額から控除すべき債務(住宅ローン)がある場合は、その時点のローン残高により課税価格は決まります。
相続税の課税価格
推定時価5,000万円の宅地の贈与を受けた場合、ここから住宅ローンの3,000万円と贈与税の基礎控除110万円を差し引くと、課税価格は1,890万円になります。
遺産分割時の評価額
相続人のうちの1人に相続によって共有状態になっている不動産を単独で相続させ、他の相続人は金銭による代償分割した場合、その相続財産の基礎となる不動産の評価額は時価でおこう事になります。
これを時価ではなく、相続税評価額や固定資産税評価額を元に評価され、遺産分割をした場合、代償分割された金額は多くの場合は過小に評価され、不公平に分配されることになります。
このように不動産については、不動産鑑定評価を活用されてるなりして適正な時価を求めれることが肝要です。
不動産の価額 | |
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遺産分割 | 取引価額(時価) |
相続税の納付 | 相続税評価額 |
固定資産税の納付 | 固定資産税評価額 |
相続税評価額の評価方式
宅地の価額は、1画地の宅地(利用者の単位となっている1区画の宅地をいう)ごとに評価します。そして宅地及び宅地の上に存する権利の評価方式には、次の2つの方法があります。
路線価方式 | 倍率方式 | |
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概要 | 市街地的形態を形成する地域にある宅地(都会の方式) | 市街地的形態を形成する地域にある宅地以外の宅地(田舎の方式) |
路線価方式による評価
その宅地の面する路線に付された路線価を基とし、がけ地や間口が狭かったり、奥行きが長かったり使い勝手の悪い宅地に関しては、その宅地の形状に応じた調整を行った金額に地積を乗じて評価することになります。
評価額=路線価x地積(実際の地積)
路線価とは、位置、形状等がその路線に面する標準的な画地1㎡当たりの価額(単位:千円)として、国税局長が評定したものです。
評価しようとする宅地が標準的なものと異なる場合には、各種の調整率によってその路線価を修正することになります。
路線価方式による評価の修正
- 一方のみが路線に接する宅地
→路線価x奥行価格補正率x地積
- 正面と側方に路線がある宅地
→(正面路線価x奥行価格補正率+側方路線価x奥行価格補正率x側方路線影響加算率)x地積
- 正面と裏面に路線がある宅地
→(正面路線価x奥行価格補正率+側方路線価x奥行価格補正率x二方路線影響加算率)x地積
- がけ地等
→路線価x奥行価格補正率xがけ地補正率x地積
- 正面と側方に路線があるがけ地
→(正面路線価x奥行価格補正率+側方路線価x奥行価格補正率x側方路線影響加算率)xがけ地補正率x地積
- 不整形地
→路線価x奥行価格補正率x(1-不整形地としての減価割合(100分の40の範囲内))x地積
- 間口が狭小な宅地
→路線価x奥行価格補正率x間口狭小補正率x地積
- 奥行が長大な宅地
→路線価x奥行価格補正率x奥行長大補正率x地積
- セットバックを必要とする宅地の評価
→利用制限が無いものとして算定した路線額-セットバックの対象となっている部分に対応する価額x70%
- 奥行が長大な宅地
→路線価x奥行価格補正率x奥行長大補正率x地積
私道の場合の路線価方式による評価の修正
私道を利用している者 | 私道の評価額 |
---|---|
宅地の所有者のみ | 自用地としての価額 |
上記以外の特定の者 | 自用地としての価額x30/100 |
不特定多数の者 | 評価しない |
倍率方式による評価
倍率方式は、固定資産税評価額に国税局長が一定の地域ごとに定める倍率に乗じて計算した金額によって評価方式です。
評価額=固定資産税評価額x倍率
固定資産税評価額は、土地課税台帳または土地補充課税台帳に登録されている基準年度の価額又は基準年度の価格に比準する価格をいい、地方税法等の特例措置によって固定資産税の税額計算の基礎とされる課税標準ではありません。
また倍率方式では、固定資産税評価額が決定される際に宅地の形状等が考慮されているので、路線価方式のように各種の補正率は用いません。