贈与契約と暦年贈与信託

贈与の定義

贈与(民法549条)

  • 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

    片務・諾成・無償の契約

贈与は片務契約であり、同時履行の抗弁権(民法533条)などの双務契約に関する適用はありません。
贈与は諾成契約なので、口約束でも有効となりますが、「書面によらない贈与」は当事者はいつでも履行されていない部分のみ撤回が可能となります。
撤回により契約は遡及的に無効となります。

暦年贈与信託

暦年贈与信託契約の場合、贈与者から「贈与の依頼書」を提出して頂くことで「書面による贈与」となり贈与者の方から一方的に撤回することができなくなります。
また受贈者から「受贈の確認書」を頂くことで、「片務契約」として有効となります。

暦年贈与信託の特長に「贈与契約書の作成や振り込みなどの、面倒な贈与手続きは不要」と記載されたりしているものがありますが、実は見て頂くとわかるとおり簡易的に手続きを踏んでいる形になっています。

  • 同時履行の抗弁(民法533条)

    双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。